個人間融資の利息に税金はかかる?貸主・借主別の課税ルールと注意点

個人間融資の利息に税金はかかる?貸主・借主別の課税ルールと注意点 個人間融資
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家族や友人にお金を貸す場面で、利息をどう扱うか迷う方は少なくありません。個人間融資の利息にも税金は発生します。とくに貸主側は所得として申告が必要なケースがあり、知らずに放置すると後から追徴課税につながることもあります。

借主側にも見落としがちな論点があります。無利息や極端に低い金利での貸付は贈与とみなされる可能性があり、贈与税の課税対象になることもあるのです。この記事では個人間融資の利息と税金について、貸主・借主それぞれの立場から実務に沿って整理します。

  1. 個人間融資の利息と税金の基本関係とは?
    1. 個人間融資とはどのような取引を指すのか
    2. 利息を取った場合に税金が発生する仕組み
    3. 無利息で貸した場合に問題になるケース
  2. 利息を受け取った貸主にかかる税金の種類とは?
    1. 雑所得として申告が必要になる理由
    2. 業務的雑所得とその他雑所得の区分の違い
    3. 受け取った利息の収入計上タイミング
  3. 利息を払った借主側の税務上の扱いとは?
    1. 個人利用の場合は経費にならない理由
    2. 事業資金として借りた場合の必要経費処理
    3. 源泉徴収の要否と支払調書の扱い
  4. 個人間融資で適用される上限金利のルールとは?
    1. 利息制限法が定める金利の上限
    2. 出資法に違反すると刑事罰になるライン
    3. 上限を超えた利息を受け取った場合のリスク
  5. 無利息や低金利の貸付が贈与とみなされる理由とは?
    1. みなし贈与として課税される判定基準
    2. 親族間貸付で特に注意すべきポイント
    3. 贈与認定を避けるための金利設定の考え方
  6. 個人間融資の利息にかかる税金の計算方法とは?
    1. 雑所得の金額の計算式と必要経費
    2. 他の所得と合算する総合課税の仕組み
    3. 住民税への影響と申告漏れのリスク
  7. 金額別シミュレーションで見る税負担の目安とは?
    1. 10万円を貸した場合の利息と税額
    2. 100万円を貸した場合の利息と税額
    3. 500万円以上を貸した場合の留意点
  8. 個人間融資で確定申告が必要になる基準とは?
    1. 給与所得者で雑所得が20万円を超える場合
    2. 主婦・学生など扶養内で貸付を行った場合
    3. 申告しなかった場合のペナルティ
  9. 贈与税の課税を回避するための実務対応とは?
    1. 金銭消費貸借契約書を作成する重要性
    2. 返済実績を残すための振込記録の取り方
    3. 基礎控除110万円との関係と注意点
  10. 借用書・金銭消費貸借契約書に記載すべき項目とは?
    1. 元本・利率・返済期日の明記
    2. 遅延損害金と期限の利益喪失条項
    3. 公正証書化するメリットと費用
  11. 個人間融資で貸倒れが発生した場合の税務処理とは?
    1. 貸主が損失計上できるかどうかの判断
    2. 回収不能を証明するための要件
    3. 返済免除をした場合の借主側の扱い
  12. 個人間融資でトラブルを避けるための注意点とは?
    1. SNSや掲示板の個人間融資が危険な理由
    2. 違法な貸付業者と判断される境界線
    3. 親族・友人間でも書面を残すべき理由
  13. 個人間融資の利息と税金に関するよくある質問
    1. 利息を受け取らなければ申告は不要ですか?
    2. 親から借りたお金の利息も贈与税の対象になりますか?
    3. 利息を後でまとめて受け取った場合の申告年度はいつですか?
    4. 借用書がない口約束の貸借でも税金は発生しますか?
    5. 利息を分割で受け取る予定が途中で止まった場合はどうなりますか?
  14. まとめ
    1. 参考文献

個人間融資の利息と税金の基本関係とは?

個人間融資は身近な取引ですが、税務上のルールは意外と細かく決まっています。利息のやり取りがあれば申告が必要になり、なければないで別の問題が出てきます。まずは全体像を押さえておきましょう。

個人間融資とはどのような取引を指すのか

個人間融資とは、貸金業者を介さずに個人同士で金銭の貸し借りを行う取引のことです。親子間、夫婦間、友人間、職場の同僚同士など、関係性はさまざまです。金額の大小は問いません

口約束で済ませているケースも多いのですが、それが後々のトラブルの原因になります。税務署からの指摘を防ぐためにも、貸借の事実を客観的に示せる証拠が大切です。書面と振込記録、この2点があるかどうかで扱いが大きく変わります。

利息を取った場合に税金が発生する仕組み

利息を受け取った貸主には、原則として所得税の課税が発生します。これは事業として貸金業を営んでいなくても同じです。受け取った利息は雑所得として扱われ、年間の所得金額に応じて確定申告が必要になります。

給与所得者でも雑所得が年20万円を超えれば申告義務が生じます。少額だからといって安易に省略はできません。逆に20万円以下であれば所得税の申告は不要ですが、住民税の申告は別途必要になる点に注意してください。

無利息で貸した場合に問題になるケース

無利息や著しく低い金利で貸し付けた場合、本来受け取るべき利息相当額が贈与とみなされることがあります。これを「みなし贈与」と呼びます。とくに親子間で大きな金額を動かすときに問題になりやすいのです。

ただし金額が小さい場合や、社会通念上問題ないと判断される範囲であれば課税されないこともあります。判定は個別事情によって変わるため、高額の貸付では事前に税理士に相談する方が安全です。

利息を受け取った貸主にかかる税金の種類とは?

利息収入をどのように申告するかは、貸付の規模や継続性によって変わります。雑所得という枠の中でも、さらに細かく区分されているため、自分のケースがどれに当てはまるか確認が必要です。

雑所得として申告が必要になる理由

個人間融資で得た利息は、所得税法上の10種類の所得区分のうち雑所得に該当します。事業的規模で貸金業を営んでいる場合は事業所得になりますが、個人間の貸し借りで継続的に営業しているケースはまれです。

雑所得は他の所得と合算して総合課税の対象になります。給与や年金など他の収入と合算した上で、累進税率が適用される仕組みです。所得が増えれば税率も上がるため、利息収入の額によっては想定以上の税負担になることもあります。

業務的雑所得とその他雑所得の区分の違い

令和4年分の申告から、雑所得は「業務に係るもの」「公的年金等」「その他」の3つに区分されました。個人間融資の利息は、原則として「その他の雑所得」に分類されます。

区分の違いは経費の扱いや帳簿保存義務に影響します。下記の表で整理します。

区分 主な対象 経費の扱い
業務に係る雑所得 副業として継続的に行う活動 経費計上可、帳簿保存義務あり
その他の雑所得 個人間融資の利息など単発的なもの 経費は限定的
公的年金等 国民年金、厚生年金など 公的年金等控除を適用

受け取った利息の収入計上タイミング

利息は受け取った時点ではなく、契約に基づいて発生した時点で収入として計上するのが原則です。これを発生主義といいます。実際に振り込まれていなくても、約束した日が来れば収入として認識します。

ただし回収が困難な場合や、契約上明確に後払いと定めている場合は、受領時点での計上が認められることもあります。判断に迷うときは、契約書の文言と実態の両方を確認してください。

利息を払った借主側の税務上の扱いとは?

借主が払う利息は、使途によって税務上の扱いが大きく異なります。プライベートで使ったお金なのか、事業のために借りたお金なのかで結論が変わるのです。

個人利用の場合は経費にならない理由

生活費や趣味、住宅購入などプライベートな用途で借りたお金の利息は、所得税の計算上、経費として控除できません。これは個人間融資に限らず、銀行ローンでも同じ考え方です。

所得税法は事業や収益を生む活動に直接関係する支出のみを経費として認めます。個人的な消費に関わる利息は、いくら払っていても課税所得から差し引けないと覚えておいてください。

事業資金として借りた場合の必要経費処理

個人事業主が事業資金として借り入れた場合、支払った利息は必要経費に算入できます。事業所得や不動産所得の計算上、利息額をそのまま経費として差し引けるのです。

ただし条件があります。借入金が事業のために使われたことを客観的に説明できる必要があります。借用書に資金使途を明記し、事業用口座で受け取り、事業用の支払いに充てる、この流れを書面と通帳で残しておきましょう。

源泉徴収の要否と支払調書の扱い

法人が個人に利息を支払う場合は源泉徴収義務が発生しますが、個人が個人に支払う利息については源泉徴収は不要です。支払調書の提出義務もありません。

とはいえ、貸主側は申告義務を負っています。借主が源泉徴収しないことと、貸主が申告しなくてよいことはイコールではありません。ここを混同しないように注意してください。

個人間融資で適用される上限金利のルールとは?

個人間でも金利には法律で上限が定められています。これを超えると民事上の効力を失うだけでなく、刑事罰の対象になることもあります。

利息制限法が定める金利の上限

利息制限法は元本の額に応じて、3段階で上限金利を定めています。具体的な数値は次の通りです。

元本の額 上限金利(年利)
10万円未満 20%
10万円以上100万円未満 18%
100万円以上 15%

この上限を超えた利息の合意は、超過部分について無効となります。借主は超過分の支払いを拒否でき、すでに払った分は元本に充当されます。

出資法に違反すると刑事罰になるライン

出資法では、個人間の貸付について年109.5%(うるう年は109.8%)を超える金利を約束した時点で刑事罰の対象としています。5年以下の懲役または1000万円以下の罰金、またはこれらの併科という重い処罰です。

業として貸付を行う者の場合は、年20%を超えた時点で刑事罰の対象になります。SNSや掲示板を通じた個人間融資が摘発されるのは、この基準に抵触するケースが多いためです。

上限を超えた利息を受け取った場合のリスク

利息制限法の上限を超えた利息を受け取ると、超過分は不当利得として返還請求される可能性があります。さらに出資法のラインを超えていれば、貸主自身が刑事責任を問われる立場になります。

親しい間柄であっても、金利設定は法令の範囲内に収めるのが鉄則です。「相手が納得しているから大丈夫」という感覚で高金利を設定すると、後日大きな問題に発展しかねません。

無利息や低金利の貸付が贈与とみなされる理由とは?

利息を取らない優しさが、税務上は思わぬ落とし穴になることがあります。とくに親族間の貸付では、贈与認定リスクを意識した対応が必要です。

みなし贈与として課税される判定基準

相続税法第9条は、対価を支払わないで利益を受けた場合に、その利益相当額を贈与とみなすと定めています。本来支払うべき利息を免除されたなら、その利息相当額が贈与に該当する、という発想です。

判定では、貸付の金額、期間、無利息にした理由、当事者の関係性などが総合的に考慮されます。「ある時払いの催促なし」「あってないようなもの」と国税庁が呼ぶ貸付は、最初から贈与として扱われます。返済の意思と能力が客観的に確認できることが大前提です。

親族間貸付で特に注意すべきポイント

親子間や夫婦間では、契約書を作らずに済ませてしまうケースがよく見られます。しかしこの省略が、後日の税務調査で大きな問題になります。書面がなければ、税務署は貸付ではなく贈与と推定しやすくなるのです。

注意すべき項目を整理します。

  • 返済期日が明確に定められているか
  • 返済が実際に行われているか
  • 貸主の年齢から見て返済完了が現実的か
  • 借主に返済できる収入や資産があるか

贈与認定を避けるための金利設定の考え方

金利をいくらに設定すれば贈与認定を避けられるか、明確な基準は法令上ありません。実務では、銀行の住宅ローン金利や定期預金金利など、市中金利を参考にすることが多いです。

ゼロでなければ安全、というわけでもありません。極端に低い金利は実質的な贈与と見られる可能性があります。年1〜2%程度を一つの目安としつつ、市場実勢に合わせて設定するのが穏当な対応です。

個人間融資の利息にかかる税金の計算方法とは?

実際に税金がいくらかかるのか、計算の流れを押さえておきましょう。雑所得は他の所得と合算する仕組みのため、自分の年収によって最終的な負担が変わります。

雑所得の金額の計算式と必要経費

雑所得は「総収入金額 − 必要経費」で計算します。個人間融資の利息の場合、必要経費として認められるものはごく限定的です。借用書作成費用や振込手数料程度しか計上できないケースが多いでしょう。

具体例で確認します。年間で受け取った利息が15万円、振込手数料の負担が1000円だった場合、雑所得は149,000円となります。この金額が他の所得と合算されて課税対象になるわけです。

他の所得と合算する総合課税の仕組み

雑所得は給与所得、事業所得、不動産所得などと合算され、合計額に対して累進税率が適用されます。所得税の税率は5%から45%まで7段階で設定されています。

たとえば給与所得が500万円ある人が15万円の利息を受け取った場合、合計515万円の所得に対して課税されます。利息分の税負担は所得税と住民税を合わせて約20〜30%が目安です。年収が高いほど税率も上がる点に留意してください。

住民税への影響と申告漏れのリスク

住民税は所得税の確定申告データをもとに自治体が計算します。雑所得が20万円以下で所得税の申告が不要なケースでも、住民税の申告は別途必要です。

申告漏れが発覚すると、本来の税額に加えて延滞税や無申告加算税が課されます。悪質と判断されれば重加算税の対象になることもあります。後から指摘されるより、最初から正しく申告する方が結果的に負担は軽く済みます。

金額別シミュレーションで見る税負担の目安とは?

金額の規模感をつかむために、いくつかのケースで税負担を試算してみます。実際の税率は所得全体で決まりますが、利息部分のおおよその目安として参考にしてください。

10万円を貸した場合の利息と税額

10万円を年利15%で1年間貸し付けた場合、利息は15,000円です。給与所得者で他の雑所得がなく、合計で20万円を超えなければ所得税の確定申告は不要となります。

ただし住民税の申告は必要です。住民税は所得割10%が標準のため、おおむね1,500円程度の負担が発生します。少額だからと放置せず、自治体に申告しておきましょう。

100万円を貸した場合の利息と税額

100万円を年利15%で1年間貸し付けると、利息は150,000円になります。この金額は雑所得20万円以下に収まるため、給与所得者であれば所得税の確定申告は不要なケースが多いでしょう。

借主側で見ると、年間15万円の利息負担は決して軽くありません。返済計画を立てる際は、元本と利息を合わせた支払い能力を冷静に確認してください。

500万円以上を貸した場合の留意点

500万円を年利10%で貸した場合、年間利息は50万円となります。これは確定申告が必要なラインを大きく超えます。所得税と住民税を合わせて10〜15万円程度の負担を見込んでおきましょう。

高額の貸付では、贈与税の問題も並行して検討する必要があります。借用書、返済計画、振込記録の3点セットを必ず整え、可能であれば公正証書化を検討してください。

個人間融資で確定申告が必要になる基準とは?

確定申告が必要かどうかは、立場や収入構成によって変わります。自分のケースが当てはまるか、ここで確認しておきましょう。

給与所得者で雑所得が20万円を超える場合

会社員などの給与所得者は、給与以外の所得が年間20万円を超えると確定申告が必要です。個人間融資の利息も、この20万円の枠に含まれます。他に副業収入などがあれば合算して判定します。

20万円ルールは所得税のみに適用され、住民税には適用されません。所得税の申告が不要でも住民税の申告は必要、この点を混同しないようにしてください。

主婦・学生など扶養内で貸付を行った場合

専業主婦や学生など、給与所得がない人が利息を受け取った場合、雑所得が年間48万円を超えると所得税の確定申告が必要になります。基礎控除48万円を差し引いた後の金額に課税されるためです。

扶養控除の対象になっているかどうかも要確認です。雑所得が48万円を超えると、配偶者控除や扶養控除の対象から外れることがあります。世帯全体の税負担で考えると、無視できない影響が出ることもあります。

申告しなかった場合のペナルティ

申告すべき所得を申告しなかった場合、無申告加算税が課されます。税額に応じて15%から30%が上乗せされる仕組みです。さらに納付遅れに対して延滞税も加算されます。

意図的な隠ぺいや偽装があったと判断されれば、重加算税として35〜40%が課されます。「バレないだろう」という判断は通用しません。税務署は預金口座の動きを把握できる権限を持っています。

贈与税の課税を回避するための実務対応とは?

贈与認定を避けるには、貸付の実態を客観的に示せる準備が欠かせません。形式と実態の両面で「これは確かに貸付だ」と言える状態を作ることが重要です。

金銭消費貸借契約書を作成する重要性

口約束ではなく書面で契約を残すことが、贈与認定を避ける最も基本的な対応です。金銭消費貸借契約書には、貸主借主の氏名、貸付金額、利率、返済期日、返済方法を明記します。

両者が署名押印し、原本を1通ずつ保管するのが基本形です。収入印紙の貼付も忘れないようにしてください。記載金額に応じて200円から数万円の印紙税が必要になります。

返済実績を残すための振込記録の取り方

返済は現金手渡しではなく、銀行振込で行うのが鉄則です。振込記録は通帳に残り、税務署からの問い合わせがあったときに動かぬ証拠となります。

毎月決まった日に決まった金額を振り込む、これを契約期間中ずっと続けることが大切です。途中で止まると贈与認定リスクが一気に高まります。返済が滞りそうなときは、書面で条件変更の合意を残しておきましょう。

基礎控除110万円との関係と注意点

贈与税には年間110万円の基礎控除があります。仮に利息相当分が贈与とみなされても、110万円以下であれば贈与税は発生しません。ただし他の贈与と合算される点に注意が必要です。

たとえば誕生日プレゼントや学費援助など、別の名目で受けた贈与があれば合算されます。基礎控除を当てにして無利息貸付を続けると、思わぬところで課税対象になることもあるのです。

借用書・金銭消費貸借契約書に記載すべき項目とは?

契約書の質が、後日のトラブル耐性を決めます。形式だけ整えればよいというものではなく、実際にトラブルが起きたときに使える内容になっているかが問われます。

元本・利率・返済期日の明記

契約書の核となる3要素は、元本、利率、返済期日です。元本は貸付の金額、利率は年利で表記、返済期日は具体的な日付か返済スケジュールを明記します。

返済方法も明確にしておきましょう。一括返済なのか分割返済なのか、分割なら毎月の支払日と金額を記載します。振込先の口座番号まで書いておくと、後の運用がスムーズです

遅延損害金と期限の利益喪失条項

返済が遅れた場合の遅延損害金率を契約書に定めておきます。利息制限法では遅延損害金の上限が年20%まで(事業者向けは21.9%)と定められているため、その範囲内で設定します。

期限の利益喪失条項も重要です。何回連続で延滞したら一括請求できるか、どのような事由で残額全額を請求できるか、こうした条件を明記しておくと、いざというときの回収行動がスムーズになります。

公正証書化するメリットと費用

公正証書として契約書を作成すると、強制執行認諾文言を付けることができます。これがあれば、返済が滞ったときに裁判を経ずに強制執行が可能になります。

公証役場で作成する費用は、貸付金額に応じて変動します。

貸付金額 公正証書作成費用の目安
100万円以下 5,000円
200万円以下 7,000円
500万円以下 11,000円
1,000万円以下 17,000円

高額の貸付であれば、費用以上の安心感が得られる選択肢といえます。

個人間融資で貸倒れが発生した場合の税務処理とは?

返済が止まってしまった場合、貸主側の税務処理はどうなるのでしょうか。事業性のない個人間融資では、損失計上のハードルが高いのが実情です。

貸主が損失計上できるかどうかの判断

事業として貸金業を営んでいない個人の場合、貸倒れによる損失を所得から差し引くことは原則できません。雑所得の必要経費として計上することも認められないケースがほとんどです。

事業所得や不動産所得に関連する貸付であれば、貸倒損失として処理できる可能性があります。ただしその場合も、回収不能であることを客観的に証明する必要があります。

回収不能を証明するための要件

国税庁は貸倒れの判定基準として、いくつかの状況を示しています。借主の破産、債務免除の通知、長期にわたる無資力状態などが該当します。

「返してくれそうにない」という主観的な判断では認められません。裁判所の決定文書、内容証明郵便、相手方の財産状況を示す資料など、第三者にも納得してもらえる証拠が必要です。

返済免除をした場合の借主側の扱い

貸主が「もう返さなくていい」と免除した場合、借主側では債務免除益が発生します。これは経済的利益の供与に当たり、贈与税の対象となる可能性があります。

返済免除を行うときは、書面で意思表示を残し、贈与税の課税関係も含めて検討してください。安易な口約束での免除は、後日借主側に思わぬ税負担を生むことがあります。

個人間融資でトラブルを避けるための注意点とは?

最後に、税務以外も含めたトラブル回避のポイントを確認しておきます。とくに見知らぬ相手との取引には大きなリスクがあります。

SNSや掲示板の個人間融資が危険な理由

X(旧Twitter)や掲示板で個人間融資を募る投稿が見られますが、これらの大半は違法業者によるものです。出資法の上限を超える金利、個人情報の悪用、性的搾取の手段化など、深刻な被害が報告されています。

金融庁も繰り返し注意喚起を行っています。正規の金融機関で借りられない事情があるなら、まず公的な相談窓口に行ってください。法テラスや消費生活センター、自治体の生活困窮者支援窓口など、利用できる制度は意外と多くあります。

違法な貸付業者と判断される境界線

業として貸付を反復継続して行うと、貸金業登録が必要になります。無登録で営業すれば貸金業法違反です。「個人間融資」を装っても、実態が業としての貸付であれば違法行為と判断されます。

判定の基準は、回数、対象者の広さ、利益目的の有無などです。家族や友人への単発の貸付なら問題ありませんが、複数の他人に繰り返し貸し付けるなら登録が必要になる、と覚えておいてください。

親族・友人間でも書面を残すべき理由

親しい間柄であればあるほど、口約束で済ませてしまいがちです。しかし関係性が近いからこそ、お金の問題で揉めると修復が難しくなります。書面を残すことは、相手を信用していないからではなく、関係を守るための手段です。

税務面でも実益があります。書面のない貸借は贈与と推定されやすく、想定外の税負担を招くことがあります。最初の少しの手間が、将来の大きなトラブルを防ぎます。

メールで条件を確認するときの文例を示します。

件名:先日お話しした件のお金の貸し借りについて

〇〇さん

先日お話しした件、金額と返済方法をまとめましたので確認をお願いします。

貸付金額:50万円
利率:年3%
返済方法:毎月末日に2万円を指定口座へ振込
返済期間:2026年6月から2028年5月まで(全24回)
最終返済日:2028年5月31日

問題なければ、正式な金銭消費貸借契約書を作成して署名押印しましょう。
不明な点があれば遠慮なくご連絡ください。

〇〇

個人間融資の利息と税金に関するよくある質問

利息を受け取らなければ申告は不要ですか?

利息収入がなければ所得税の申告は不要です。ただし無利息や著しく低い金利の貸付は、利息相当分が贈与とみなされる可能性があります。借主側で贈与税の課税対象になるケースがあるため、無利息にすればすべて解決というわけではありません。

親から借りたお金の利息も贈与税の対象になりますか?

利息相当額が贈与として課税される可能性があります。ただし年間の贈与額が110万円の基礎控除内に収まれば、贈与税は発生しません。金額が大きい場合や他の贈与と合算して110万円を超える場合は、相応の金利を設定して契約書を作成することをおすすめします。

利息を後でまとめて受け取った場合の申告年度はいつですか?

原則として、契約上利息が発生した年度に収入計上します。実際に受け取った年度ではありません。発生主義での処理が基本となるため、複数年分をまとめて受け取った場合でも、年度ごとに分けて申告する形が原則です。

借用書がない口約束の貸借でも税金は発生しますか?

利息を受け取っていれば、書面の有無に関係なく所得税の課税対象になります。借用書がないことを理由に申告を免れることはできません。むしろ書面がないと、税務署から贈与と判断されてさらに重い課税を受けるリスクが高まります。

利息を分割で受け取る予定が途中で止まった場合はどうなりますか?

すでに受け取った利息分は、その年度の収入として申告対象になります。未収のまま回収できなくなった部分は、事業所得や不動産所得に関連する貸付でなければ、損失として計上することは原則できません。事業性のない個人間融資は税務上の救済が限定的だと覚えておいてください。

まとめ

個人間融資の利息と税金は、貸主の申告義務と借主の贈与認定リスクという2つの軸で考えると整理しやすくなります。書面、振込、市中相場に沿った金利、この3点を押さえれば、税務上のトラブルは大幅に減らせます。

知っておくと得をする周辺知識として、相続発生時の取り扱いがあります。貸主が亡くなった時点で未回収の貸付金は相続財産に含まれ、相続税の対象になります。逆に借主が亡くなれば借入金は債務として相続財産から控除できます。長期の貸付では、こうした世代をまたぐ論点も視野に入れて契約条件を組み立てるのが賢明です。判断に迷うときは、税理士や弁護士に早めに相談してください。

参考文献

  • 「No.1500 雑所得」-「国税庁」
  • 「No.4402 贈与税がかかる場合」-「国税庁」
  • 「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」-「国税庁」
  • 「貸金業法Q&A」-「金融庁」
  • 「個人向け貸付に関する注意喚起」-「金融庁」
  • 「利息制限法」-「e-Gov法令検索」
  • 「出資の受入れ、預り金及び金利等の取締りに関する法律」-「e-Gov法令検索」
  • 「所得税法」-「e-Gov法令検索」
  • 「相続税法第9条」-「e-Gov法令検索」
  • 「公証事務」-「日本公証人連合会」
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